ZOB/V96 プロト2 評価報告 1

その2: PentiumPro 200MHz + ASUS の Natoma マザー

1996年7月13日にプロトタイプ2 を作成しました。
Pentium 200MHz の生産性と性能の悪 さが予想されたため、当初 CPUは Cyrix 6×86 を考えていたのですが、PentiumPro 用新 PCI Chipset 440FX(Natoma) は性能は良く値段も (Orion に比 べて) 安いので、思い切って一気に PentiumPro 200MHz で組んでみました。
そして、グラフィックカードには、S3 ViRGE チップ使用カードの中で最速の、 Diamond Stealth 3D 2000 を入れてみました。

dotマシン構成

  • CPU : Intel PentiumPro 200MHz
  • Mother Board : ASUSTek P/I-P6NP5 (Intel 440FX Natoma chipset)
  • L2 Cache : 256KB (on CPU package)
  • Memory : EDO 32MB
  • Graphic Card : Diamond Stealth 3D 2000 Series (ViRGE)

dotベンチマークデータ

スピードテストの結果を掲載します。ほとんどのテ ストが16ビットプログラムのため PentiumPro には不利ですが、それなりのデー タになっています。

dot所感

性能について
PentiumPro は 16ビットの演算は遅いという噂がありましたが、PCI Chipset 440FX(Natoma) には VRAM Cache 機能があり、それを有効にするとVRAM アクセスが圧倒的に速くなるため、 16ビット演算の不利を跳ね返すだけの性能 を引き出すことができます。
ATXについて
ATX は Intel が提唱したマザーボードとケースの仕様です。シリアル、 パラレル、PS/2マウスのコネクタがマザーボードに直付けになっており、その位 置に合わせてケースの背面に穴が開いています。ちょうど PC9801 シリーズの背 面と同じようですね。
したがって、自作する場合にケーブルの接続が少なくなり、より安定した動作 が期待できます。
また、電源スイッチがソフトウェアスイッチになっており、ソフトウェアコマ ンドで電源の ON/OFF が可能です。Windows95 の終了で自動的に電源がOFF にな ります。
問題点としては、全ての ISAバスにフルサイズボードを挿すことが可能な仕様 であるため、マザーボードサイズが大きくなることと、電源の仕様の統一性が採 れていないため、現在の段階では対応したケースが少ないことです。
ZOBV96 は自作が基本であるため、より安定した動作が可能である ATX にしよ うと考えています。 9月には数多くケースも発表されると思われるので、今回も 良いケースが選べるものと思います。
今後の評価
試用を通して実性能、安定性の評価を進めていきたいと思います。32ビットベ ンチマークの結果や PentiumPro 3.5 倍速の評価結果もレポートしていきたいと 考えています。

ZOB/V96 プロト2 評価速報はこちらです。

ZOB/V96 プロト2 評価報告 2

その2: PentiumPro 200MHz + ASUS の Natoma マザー (つづき)

penpro1

マザーボードをケースに据えたところ。CPUの大きさが目立つ

今回の報告では、DOS 用ベンチマークプログラムである 3dbench2 をいくつか の動作環境で動作させた結果について考察を行ないます。

dot評価対象

ベンチマークプログラム 3dbench2 を

  • Window95 の DOS モード
  • Windows95 の DOS 窓
  • WindowsNT の DOS 窓

においてそれぞれ実行します。マシンは ZOB/V96 proto2 (PentiumPro) で、クロック 200MHz/233MHz、および VGA cache ON/OFF の設定を変更しながら測定します。

dot結果

以下のグラフのようになりました。

3dbench2

※グラフ中の “cache” というのはチップセットのもつ VGA cache 機能を意味し ます

dot考察

NT の DOS 窓では、DOS よりも速いという驚異的な結果が得られました。これ はビデオドライバの効果が大きいものと考えられます。
ただし VRAM Cache ONではテキスト画面がボロボロで読めませんでした。対応 するドライバが開発されるまでは OFF のままになりそうです。

3dbench2 は 16ビットアプリケーションであり、また VRAM という低速デバイ スへアクセスするため CPUのクロックアップ (200→233MHz は 1.16倍)に比べて ベンチマーク結果の速度アップは少なくなっています(1.07~1.12倍)。
VGA Cache ON の WinNT は妙に速い ( 1.19倍) ですが、3dbench2 を実行する たびに大きく値が変わっていたので、これは測定誤差だと思われます。 (値は 3 回測定したうちの真ん中の値です。)

この結果には VGA Cacheの効果がよくあらわれています。VGA Cache OFF の時 は CPU Clock を上げてもほとんどベンチマーク結果が向上しませんが、VGA Cache ON だと CPU クロックの増加分に近いくらい向上しています。おそらく、 より高速クロックの PentiumPro を使うと、VGA Cache ON ならばベンチマーク 結果ももう少し向上すると思われます。

→ 評価のつづき

ZOB/V96 プロト2 評価報告 3

その2: PentiumPro 200MHz + ASUS の Natoma マザー (つづき)

今回の報告では WinBench96 の中の CPUmark の結果について考察を行ない ます。

dot評価対象

ZD社 (PC magazine) のベンチマークプログラム WinBench96 の中で、CPU性能 を評価する CPUmark を以下のマシンで実行します。

  • ZOB/V95 (Pentium 133MHz/Triton chipset)
  • ZOB/V96proto1 (Pentium 166MHz/Triton2 chipset)
  • ZOB/V96proto2 (PentiumPro 200MHz/Natoma chipset)
  • ZOB/V96proto2 (PentiumPro 233MHz/Natoma chipset)

それぞれの CPUの性能を調べるのが目的です。CPUmark16 は16ビットアプリケ ーションの、CPUmark32 は32ビットアプリケーションの性能を示します。

dot結果

マシン ZOB/V95
Pentium
133MHz
Triton
ZOB/V96p1
Pentium
166MHz
Triton2
ZOB/V96p2
PentiumPro
200MHz
Natoma
ZOB/V96p2
PentiumPro
233MHz
Natoma
クロック比 1 1.25 1.5 1.75
CPUmark16
(比)
271
(1)
313
(1.15)
357
(1.32)
416
(1.53)
CPUmark32
(比)
266
(1)
310
(1.16)
546
(2.05)
628
(2.36)

 
winbench

dot考察

PentiumPro の 16ビット性能はクロック比までも届きませんが、32ビット性能 は圧倒的に速いことがわかります。
Pentium 133MHz と PentiumPro 200MHz、および 233MHz の 16ビットベンチマ ーク結果は、クロックの比に比べて低くなっています。これは一般に言われる通 り PentiumPro が 16ビットアプリに弱いことを示しています。
しかし Pentium もあまり大きな事は言えません。Pentium 166MHz でもたいし てスピードアップしていないからです。おそらく 2次キャッシュやメモリへのア クセスが頭打ちになっているからでしょう。
一方、PentiumPro をよく見ると、200MHz と 233MHz の比はほぼクロック比と 同等です。おそらくもう少し速いクロック(266MHzとか)でも、クロックに比例 してベンチマークの結果も速くなるのことが予想されます。
これは 2次キャッシュが CPUに内蔵されていることと、バスの方式が変更され たため Pentium と同じ外部 66MHz でも転送効率が上がっているためだと思われ ます。
よって PentiumPro は CPUクロックの上昇がアプリの実行速度に直接貢献する 可能性が大きいと思われます。より高速な PentiumPro の出荷が期待されます。

→ 評価のつづき