「プロジェクト」に関する記事

ZOB/V98

ZOB/V98 イメージ図

1998年度版 AT互換機共同製作プロジェクト

PC-AT 互換機を自作し、メンバー同士で情報とノウハウを共有しようという目 的で 1994年にスタートしたプロジェクトで、今回が第4回目となります。

ZOB/V98 プロトタイプその1

ZOB/V98 プロトタイプ1 を組んでみました。(1998.5.1)
Pentium II 333MHz で 400MHz 動作が可能でした。現在かなり安定して Windows95 が動作しています。
SCSI HDD は Seagate CHEETAH 4LP 回転速度 10,033rpm。思ったよりはるかに静かで、スピードは圧倒的。IBM DCAS より劣りますが、Seagate HAWK 5,400 rpm とほぼ同等の静粛さ。ただし、回転音は高音であり、定期的に発生するシーク音がやや気になります。

  • MOTHER BOARD : GIGABYTE GA686BX
    BIOS ROM 03/20/98-i440BX-W977-2A69KG09C-00
  • CPU : Pentium II 333MHz
    CPU ID 0650 Patch ID 0027
    B80523P333512E SL2QF 98150039-0791
  • SCSI HDD : Seagate CHEETAH 4LP ST-34501W
  • SCSI BOARD : Adaptec 2940UW
  • DVD-ROM : Pioneer DVD-ROM-U02 SCSI
  • GRAPHIC CARD: STB VELOCITY128 4M AGP
    NVIDIA RIVA-128
  • NIC : ENW-9501-F PCI-Fast Ethernet DECchip 21140
  • MEMORY : SDRAM 64M 66MHz Type
    LGS GM72V16821CT10K
  • CASE : TQ-700 MarkII

dotCPUについて

最近の Pentium II マザーボードでは、CPU の ID を BIOS でチェックしクロ ックにリミッタをかけている可能性があります。そこで BIOS チェックが無いと いう噂の GA686BX を使用すれば PentiumII 333MHz が 400MHzで動作するのではないかということでテストをしてみました。
結果は前述した通り 400MHz で正常(?) に動作しました。但し、今後 BIOS のバージョンアップに伴いチェック機構が入ると思われるので、現在の BIOS バージョンを示しました。
使用したメモリは 1年前に購入した 100MHz 未対応のものです。

dotHDDについて

CPU のスピードアップに対して HDD はなかなか追いつけない現状があります。 そこで ZOB/V シリーズは、少々無理をしてでも HDD は速度面で満足できるものを考えています。3年前の ZOB/V95 の時は Ultra SCSI、ZOB/V96 では 7,200rpm の HDD を使用しました。となれば ZOB/V98 は 10,000rpm となるわけです。
10,000rpm の HDD には動作音、発熱の問題があると予想していました。 (CHEETAH の初期バージョンはそうだったようです。) しかし、今の CHEETAH にはモータにかなり技術力を傾けたようで、動作音が静かで発熱も 5,400rpm の HDD と大差ありません。値段 (現在 73,800円) の高さが問題ですが、今後低下することを期待しています。さらに Ultra2 版も登場するでしょう。

dotDVD-ROM、グラフィックカード

SCSI 版の DVD-ROM ドライブが登場しましたので、早速組込んでみました。
DVD-ROM x2倍速は CD-ROM x20倍速に匹敵し、スピードは最高とは言えません が、満足できるレベルです。Pioneer DVD-ROM-U02 SCSI はスロットインタイプの DVD-ROM ドライブで、動作音は非常に静かであり ZOB/V96 で使用した 10倍 速の CD-ROM ドライブとは比較にならないほどです。今後は DVD-ROM の映像再 生ソフウェアを試したいと考えています。
グラフィックカードは、現在の段階ではチョイスできるものが無かったため、コストパフォーマンスの高い STB VELOCITY128 をとりあえず使用しました。
STB は日本ではあまり有名ではありませんが、Solaris x86 でのドライバサポートに秀でたものがあり、今後期待できるグラフィックカードメーカです。 RIVA-128 は XFree86 3.3.2 でサポートされたようなので、今後 FreeBSD/Linux で動作テストを行う予定です。

dotベンチマーク

WinBench98 等のベンチマークを実施しました。 ベンチマーク結果を参考にして下さい。

ZOB/V98の特徴

1998年度は、外部バスクロック100MHzへの対応により、マシンの基本スペックが以下のように大きく様変わりします。

  • PCI Chip : 440BX
  • CPU : Pentium II 400MHz
  • SCSI HDD : Ultra Wide 4.5G
  • CD-ROM : SCSI DVD-ROM x2速 or CD-RW

スピード的にかなり期待できるスペックですが、さらに今回はこのマシン上で以下の OS の動作を可能にするため、安定化を目指した設計を行う予定です。

  • Windows98
  • Windows NT5.0β
  • Linux
  • FreeBSD
  • Solaris 2.6 x86

ハイスペックマシンで Solarisを動作させるためには、かなりの苦労が伴うことが予想されますが、それを実現することにより、広範囲の開発/アプリケーション環境にベストマッチしたマシンになると考えています。

ZOB/Vシリーズの特徴

このプロジェクトのメリットとしては、まず数をまとめることによって安価に提供できること、そして試作機で十分なテストを行うことによって相性など容易にはチェックできない問題をクリアしていることでしょう。
組み立ては、基本的に購入者自身に行ってもらうことも大きな特徴の一つです。
その際のアドバイス、会場の準備等はスタッフが行います。
この組み立て会を通して、自分の愛機となるマシンの構造を理解し、更に会員同士の親睦を深めてもらえればと思っています。

ZOB/V96 プロト2 評価報告 4

その2: Pentium Pro 200MHz + ASUS の Natoma マザー (つづき)

今回の報告では、メモリのアクセス速度を測定するベンチマーク Pfm586 を使 って Pentium と PentiumPro のメモリアクセスの速さを調べます。

dot評価対象

Pfm586 ベンチマークを以下のマシンで実行します。

ZOB/V95 (Pentium/Triton)
CPU133MHz (外部66MHz)
ZOB/V96proto1 (Pentium/Triton2/EDO)
CPU133MHz (外部66MHz),
CPU166MHz (外部66MHz),
CPU150MHz (外部60MHz),
CPU180MHz (外部60MHz)
ZOB/V96proto2 (PentiumPro/Natoma/EDO)
CPU200MHz (外部66MHz),
CPU233MHz (外部66MHz)

proto1,2 についてはそれぞれクロックを変化させて測定することにより、Pentium マシンと PentiumPro マシンのメモリアクセス速度とクロックの関係を調べます。

dot結果

pfm586

dot考察

ZOB/V96 proto1 と proto2 (Pentium と PentiumPro)を比べてすぐに気付くの は E-cache が物凄く速いことです。これはセカンドキャッシュが CPU パッケー ジに内蔵されていて、極めて高速のクロックで動作しているからです。しかも CPU クロックを上げるとセカンドキャッシュへのアクセスも速くなるという、驚 くべき結果が得られました。
これはセカンドキャッシュが CPUに比べてずっと遅い外部クロックで動作する Pentium ではあり得ないことです。また Pentium では、CPUクロックが高くても 外部クロックが低ければメモリアクセスは遅くなることが見てとれます。
PentiumProではメインメモリへの書き込みも 3倍程度速くなっています。これ はチップセット (Natoma) の書き込みバッファのおかげだと思われます。 (VGA Cache は関係ありません。)
一方、メインメモリからの読み込みは PentiumPro で全く改善されていません。 むしろ Pentium の方が僅かに速いという結果になっています。
この原因は今のところ定かではありませんが、 PentiumPro のバス・アーキテ クチャに起因するのか、あるいはマザーボードの設計によるものかも知れません。 しかし差は微々たるものですから、実用上は全く問題にならないでしょう。

ZOB/V96 プロト2 評価報告 3

その2: PentiumPro 200MHz + ASUS の Natoma マザー (つづき)

今回の報告では WinBench96 の中の CPUmark の結果について考察を行ない ます。

dot評価対象

ZD社 (PC magazine) のベンチマークプログラム WinBench96 の中で、CPU性能 を評価する CPUmark を以下のマシンで実行します。

  • ZOB/V95 (Pentium 133MHz/Triton chipset)
  • ZOB/V96proto1 (Pentium 166MHz/Triton2 chipset)
  • ZOB/V96proto2 (PentiumPro 200MHz/Natoma chipset)
  • ZOB/V96proto2 (PentiumPro 233MHz/Natoma chipset)

それぞれの CPUの性能を調べるのが目的です。CPUmark16 は16ビットアプリケ ーションの、CPUmark32 は32ビットアプリケーションの性能を示します。

dot結果

マシン ZOB/V95
Pentium
133MHz
Triton
ZOB/V96p1
Pentium
166MHz
Triton2
ZOB/V96p2
PentiumPro
200MHz
Natoma
ZOB/V96p2
PentiumPro
233MHz
Natoma
クロック比 1 1.25 1.5 1.75
CPUmark16
(比)
271
(1)
313
(1.15)
357
(1.32)
416
(1.53)
CPUmark32
(比)
266
(1)
310
(1.16)
546
(2.05)
628
(2.36)

 
winbench

dot考察

PentiumPro の 16ビット性能はクロック比までも届きませんが、32ビット性能 は圧倒的に速いことがわかります。
Pentium 133MHz と PentiumPro 200MHz、および 233MHz の 16ビットベンチマ ーク結果は、クロックの比に比べて低くなっています。これは一般に言われる通 り PentiumPro が 16ビットアプリに弱いことを示しています。
しかし Pentium もあまり大きな事は言えません。Pentium 166MHz でもたいし てスピードアップしていないからです。おそらく 2次キャッシュやメモリへのア クセスが頭打ちになっているからでしょう。
一方、PentiumPro をよく見ると、200MHz と 233MHz の比はほぼクロック比と 同等です。おそらくもう少し速いクロック(266MHzとか)でも、クロックに比例 してベンチマークの結果も速くなるのことが予想されます。
これは 2次キャッシュが CPUに内蔵されていることと、バスの方式が変更され たため Pentium と同じ外部 66MHz でも転送効率が上がっているためだと思われ ます。
よって PentiumPro は CPUクロックの上昇がアプリの実行速度に直接貢献する 可能性が大きいと思われます。より高速な PentiumPro の出荷が期待されます。

→ 評価のつづき