この世のCPUを食べ尽くすのだ!
~あんたCPUなんか創ってどうするのよ?! Vol.3~
2018/10/8
技術書典5
池袋サンシャインシティ 文化会館ビル2F 展示ホールD「け39」
第0章 はじめに
本書はTD4というCPUを拡張し、電卓を作ろうというプロジェクトの第3弾です。
TD4とは渡波郁氏の著書「CPUの創りかた」 の中で製作している4ビットCPUです。
TD4はCPUの原理を理解するための教材として設計されていて、わずか10個のICで作ることができます。そのためTD4は理解しやすく、素人でも容易に作成でき、多くの人々の関心を集めました。その結果「CPUの創りかた」はベストセラーとなり、大学や高専などでも研究資料として使われているようです。
ところがTD4には実用性が無いという問題があります。
そもそもTD4という名前の由来からして「とりあえず動作するだけの4ビットCPU」ですし、機能が少ない方がCPUの動作原理を理解しやすいですから仕方ないのですが、さすがに加算すらまともに実行できないのでは使い物になりません。
そこで筆者は、電卓を作るという目標を定めたうえで、最小限のICを追加してTD4を拡張することにしました。できる限り少ないICでCPUを作るというTD4の思想を尊重しつつ、加算と減算を実行できる4ビットCPUを作ります。そしてソフトウエアによる乗算と除算を行い、加減乗除のできる電卓を製作します。まあ桁数は2桁の予定ですがw。
本プロジェクトではこれまで2冊の同人誌を発行しました。
まず2016年発行のVol.1である「あんたCPUなんか創ってどうするのよ?!」ではTD4の最大プログラムサイズを4KBに拡大しました。次に2017年発行のVol.2である「ええっ?! CPU創ったの?! すっごーい!」ではレジスタ間加算の実現方法を模索しました。
Vol.3である本書ではRAMを追加します。同時に電卓用の入出力回路を製作します。