「プロジェクト」に関する記事

ZOB/V96 プロト2 評価報告 2

その2: PentiumPro 200MHz + ASUS の Natoma マザー (つづき)

penpro1

マザーボードをケースに据えたところ。CPUの大きさが目立つ

今回の報告では、DOS 用ベンチマークプログラムである 3dbench2 をいくつか の動作環境で動作させた結果について考察を行ないます。

dot評価対象

ベンチマークプログラム 3dbench2 を

  • Window95 の DOS モード
  • Windows95 の DOS 窓
  • WindowsNT の DOS 窓

においてそれぞれ実行します。マシンは ZOB/V96 proto2 (PentiumPro) で、クロック 200MHz/233MHz、および VGA cache ON/OFF の設定を変更しながら測定します。

dot結果

以下のグラフのようになりました。

3dbench2

※グラフ中の “cache” というのはチップセットのもつ VGA cache 機能を意味し ます

dot考察

NT の DOS 窓では、DOS よりも速いという驚異的な結果が得られました。これ はビデオドライバの効果が大きいものと考えられます。
ただし VRAM Cache ONではテキスト画面がボロボロで読めませんでした。対応 するドライバが開発されるまでは OFF のままになりそうです。

3dbench2 は 16ビットアプリケーションであり、また VRAM という低速デバイ スへアクセスするため CPUのクロックアップ (200→233MHz は 1.16倍)に比べて ベンチマーク結果の速度アップは少なくなっています(1.07~1.12倍)。
VGA Cache ON の WinNT は妙に速い ( 1.19倍) ですが、3dbench2 を実行する たびに大きく値が変わっていたので、これは測定誤差だと思われます。 (値は 3 回測定したうちの真ん中の値です。)

この結果には VGA Cacheの効果がよくあらわれています。VGA Cache OFF の時 は CPU Clock を上げてもほとんどベンチマーク結果が向上しませんが、VGA Cache ON だと CPU クロックの増加分に近いくらい向上しています。おそらく、 より高速クロックの PentiumPro を使うと、VGA Cache ON ならばベンチマーク 結果ももう少し向上すると思われます。

→ 評価のつづき

ZOB/V96 プロト2 評価報告 1

その2: PentiumPro 200MHz + ASUS の Natoma マザー

1996年7月13日にプロトタイプ2 を作成しました。
Pentium 200MHz の生産性と性能の悪 さが予想されたため、当初 CPUは Cyrix 6×86 を考えていたのですが、PentiumPro 用新 PCI Chipset 440FX(Natoma) は性能は良く値段も (Orion に比 べて) 安いので、思い切って一気に PentiumPro 200MHz で組んでみました。
そして、グラフィックカードには、S3 ViRGE チップ使用カードの中で最速の、 Diamond Stealth 3D 2000 を入れてみました。

dotマシン構成

  • CPU : Intel PentiumPro 200MHz
  • Mother Board : ASUSTek P/I-P6NP5 (Intel 440FX Natoma chipset)
  • L2 Cache : 256KB (on CPU package)
  • Memory : EDO 32MB
  • Graphic Card : Diamond Stealth 3D 2000 Series (ViRGE)

dotベンチマークデータ

スピードテストの結果を掲載します。ほとんどのテ ストが16ビットプログラムのため PentiumPro には不利ですが、それなりのデー タになっています。

dot所感

性能について
PentiumPro は 16ビットの演算は遅いという噂がありましたが、PCI Chipset 440FX(Natoma) には VRAM Cache 機能があり、それを有効にするとVRAM アクセスが圧倒的に速くなるため、 16ビット演算の不利を跳ね返すだけの性能 を引き出すことができます。
ATXについて
ATX は Intel が提唱したマザーボードとケースの仕様です。シリアル、 パラレル、PS/2マウスのコネクタがマザーボードに直付けになっており、その位 置に合わせてケースの背面に穴が開いています。ちょうど PC9801 シリーズの背 面と同じようですね。
したがって、自作する場合にケーブルの接続が少なくなり、より安定した動作 が期待できます。
また、電源スイッチがソフトウェアスイッチになっており、ソフトウェアコマ ンドで電源の ON/OFF が可能です。Windows95 の終了で自動的に電源がOFF にな ります。
問題点としては、全ての ISAバスにフルサイズボードを挿すことが可能な仕様 であるため、マザーボードサイズが大きくなることと、電源の仕様の統一性が採 れていないため、現在の段階では対応したケースが少ないことです。
ZOBV96 は自作が基本であるため、より安定した動作が可能である ATX にしよ うと考えています。 9月には数多くケースも発表されると思われるので、今回も 良いケースが選べるものと思います。
今後の評価
試用を通して実性能、安定性の評価を進めていきたいと思います。32ビットベ ンチマークの結果や PentiumPro 3.5 倍速の評価結果もレポートしていきたいと 考えています。

ZOB/V96 プロト2 評価速報はこちらです。

ZOB/V96 プロト1 評価報告

日進月歩の互換機世界、メーカ品やショップブランドに多様なスペックのマシ ンが次々と登場する中で、96年度版 ZOB/V はどんなマシンにするか……大変悩 ましい問題です。
ZOB/V プロジェクトでは、毎回スタッフが「評価」という名の部品買い漁りを 行ない、マシンのコンセプトを煮詰めていきます。今年度 ZOB/V の「評価」も 着々と進みつつありますので、このページではその結果をリポートしていきたい と思います。

その1: ASUS の Trition II マザーで組んでみよー!

ゴールデンウィーク前半に、最初のプロトタイプの組み立てを行いました。ASUSTek 製のマザーボードは ATX 対 応で、いわゆる Triton II チップセット (430HX) を搭載したものです。これと ZOB/V95 の部品を核に、まずは次のマシンを組んでみました。

dotマシン構成

ケースに収めたところ

ATX対応ケースにマザーボードを取り付けたところ。ケーブル類を非常にスッ キリとレイアウトできました。

  • CPU : Intel Pentium 166MHz
  • Mother Board : ASUSTek P/I-XP55T2P4 (Intel Triton II chipset)
  • L2 Cache : PB SRAM 256KB
  • Memory : EDO 32MB 60ns
  • FDD : 3.5″ 3mode
  • HDD : Quantum VP32210 (Capella)
  • CD-ROM Drive : Toshiba XM-5301 SCSI 4x
  • SCSI Interface : Adaptec 2940U PCI
  • Graphic Card : Canopus Power Window 968 PCI VRAM 4M
  • Keyboard : Fujitsu 106key
  • Case : Middle Tower (ATX)
ATX 仕様では、マザーボードにキーボードやマウスのほかシリアル等のコネク タまでが装着されており、マザーをケースに装着すると背面パネルからコネクタ が顔を出すようになっています。
また、ATX ではマザーボードが電源を管理しているので、例えば Window95 で シャットダウンを行なうと電源まで自動的に切ってくれます。
マザーボードのアップです

マザーボードのアップです

dot所感

このマシン、マザーも含めて、現在市販されている典型的な高性能組立済マシ ンのスペックと言えます。
使用してみると、ベンチマーク結果でも体感でも、ZOB/V95 からさほどパワー アップした感はありませんでした。 (それだけ ZOB/V95の構成がよかったとも言 えるのですが。)

この部品の中では、HDD (Capella) が比較的コストパフォーマンスのよい部品 だと思われました。と言っても、以前に比べて高性能のドライブが割安になった という程度であり、決め手ではありません。HDDは世代交代が進んでいますので、 ZOB/V96 本番では、また違ったドライブを使用することになるでしょう。 (ZOB/V94 でも 95 でも、HDD は組立前ギリギリでの仕入れが成功しているので す。)

組立や、その後の試用でのトラブルはほとんどなく、安定性は高いようです。 しかし ZOB/V95 とさほど変わらないマシンでは我々は納得できません。次いってみましょう。:-)

ZOB/V96プロト2評価報告はこちらです。