あなたCPUなんか創ってどうするのかしら?! 第6章

~あんたCPUなんか創ってどうするのよ?! Vol.4~

2018/10/8
技術書典5 け39

第6章 終わりに……

お疲れ様でした。TD4を拡張して電卓を作成可能なCPUを作る、という今回のプロジェクトはこれにて終了です。

出来上がった電卓は僅か2桁の整数しか取り扱えないので、電卓としては実用になりません。実用にならない電卓しか作れないCPUに実用性があるのか、という問題はあるものの、TD4の次のステップとしては妥当なものが出来上がったのではないでしょうか。

ここでは、この先のステップに進みたい方のために、僭越ながらアドバイスをしたいと思います。

CPUを作りたいと考える方ならば4004の開発者の一人である嶋正利氏のことはご存知でしょう。私は氏にお会いしたことはありませんが、彼が折に触れて主張している以下の言葉を紹介します。

『初めに応用ありき、応用が全てである』

私はこの言葉を以下のように解釈しています。

CPUを作ることのできる人間はCPUを使う人間である。

このプロジェクトを始める際、私がTD4に関して調べた時に気づいたのは、自分でTD4を作った人、あるいはTD4を拡張して新たなCPUを作った人の全員が、そのCPUを客観的に評価できていないという事です。自分は素晴らしいCPUを作ったと盲目的に信じているのです。

これは技術者にあってはならない事です。

素晴らしいCPUを作ったのであれば、それを客観的に証明する必要があります。筆者はその評価基準として電卓を選び、実際に2桁の電卓を作成しました。

CPUを作りたい方、あるいは作った方にお願いします。ドッグフードを食べてください。自分で作ったCPUを自分で使ってください。そうすれば他人からも評価してもらえるCPUを作ることができる筈です。

では、ここまで長い間お付き合いいただきありがとうございました。

またどこかでお会いできれば幸いです。

2019年4月14日
ZOB.Club
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